ついこの前北の将軍様は東に向かって北風を吹かした。何も知らない東の旅人は襟を立てて身をすくめていた。それから何日か経って今度は南の将軍がまた北風を吹かせるという。東の旅人は少しは北風になれてきたのか、何も言わなくなった。ところが東の国の元左大臣様がこちらも東風を吹かせよという。
西の海に大きな暖簾がぶら下がっているのか、それをどちらも腕押ししている。
上に立つ者が安易に戦を始めてどうするんだ。今の時代頭ばかりが勝手に動いて胴や手足のことなど考えない。お互い腹の中がわからないんだから、腹を割って話をしなさいと思う。西郷さんと勝さんのように。